榊原(葉っぱ)です。
主人はある時から溜め息をよくつくようになった。
あんまり頻繁につくものだから、
私は気になって時々「溜め息つくと幸せ逃げるよ。」って言っていた。
主人は何も言わず、少し困った顔をした。
主人は2年前に肺の手術をし、一旦は職場復帰した。
1年前からまた自宅療養中だ。
職場復帰した時に、支店も変わり職種も営業から事務の仕事になった。
その頃からよく溜め息をつくようになった。
慣れない仕事で辛いのかなと思っていた。
最近、主人が話してくれた。
溜め息をついていたのではなく、
呼吸が苦しくて息がうまく吐けなくて溜め息のようになってしまうのだそうだ。
ある時、女性の事務員が主人に向かって怒鳴ったそうだ。
「溜め息ばかりつかないで!!忙しいのはみんな同じ!!テンションが下がる!!」
たぶんその時も主人は困った顔をしたものの何も言わなかったんだろうな。
私は事務員さんの言っていることもわかる。
事務員さんは主人が病気だということも手術をしたことも知らない。
私も事務員さんのように言ってしまうこともあるかもしれないと思った。
自分ができることは他人もできると思ってしまっている。
当たり前に息をし、目で見て、話をし、聞き、歩けるから。
もっと言えば、人並みに運動もでき勉強もできるから。
住む家もあり、とりあえず今はお金に困っていないから。
でも、みんながみんなそうじゃないんだ。
その事を忘れて、自分の知っているだけの世界で人を見てしまう。
相手の世界はわからない。相手の痛みは実際にはわからない。
いろいろ腹の立つことや嫌なことに出くわすけど、
最近はこんな風に考えるようになった。
「きっと何か事情があるんだな。」